『サブリース住宅原賃貸借標準契約書』について

サブリース住宅原賃貸借標準契約書

賃貸住宅におけるサブリース事業とは、賃貸管理事業者が建物所有者(家主)等から建物を転貸目的にて賃借し、自らが転貸人となって入居者(転借人)に転貸するシステムによって行う賃貸管理事業です。
国土交通省では、平成19年3月に、サブリース事業の当事者間における紛争の未然防止を図るため、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」を作成しました。
本契約書の作成趣旨を御理解の上、建物を転貸目的に賃借する賃貸管理事業者及び建物所有者(家主)をはじめとする多くの人に積極的に活用されることを期待しています。

 

平成30年3月改定
民法改正や賃貸住宅管理業者登録制度をはじめ、現在を取り巻く環境の変化等を踏まえて、賃料の改定時期等の明確化、サブリース業者から契約を解約できない期間の設定、賃貸不動産経営管理士等の記名押印欄の追加、転貸の条件項目への民泊の可否に関する事項の追加などの改定を行いました。

 

平成32年(2020年)4月1日に予定されている民法改正法の施行に向けて、ご活用ください。
◇「サブリース住宅原賃貸借標準契約書平成30年3月版」
・ 契約書本体          [PDF形式:360KB]  [Word形式:57KB]
・ 作成にあたっての注意点 [PDF形式:360KB]
・ 解説コメント                     [PDF形式:255KB]
(参考)平成24年版との新旧対照表 [PDF形式:407KB

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

ガイドラインの位置付け

 

民間賃貸住宅における賃貸借契約は、いわゆる契約自由の原則により、貸す側と借りる側の双方の合意に基づいて行われるものですが、退去時において、貸した側と借りた側のどちらの負担で原状回復を行うことが妥当なのかについてトラブルが発生することがあります。

こうした退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして平成10年3月に取りまとめたものであり、平成16年2月及び平成23年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を行っています。

 

 

<利用にあたって>

[1]   このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。

[2]   このガイドラインは、賃貸借契約締結時において参考にしていただくものです。

[3]   現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい。

 

トラブルを未然に防止するために

 

原状回復の問題は、賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちですが、これを「入口」すなわち入居時の問題と捉え、入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくことや、契約締結時において、原状回復などの契約条件を当事者双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結するなどの対策を的確にとることが、トラブルを未然に防止するためには有効であると考えられます。

 

ガイドラインのポイント

 

(1)原状回復とは

原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。

 

⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化

 

(2)「通常の使用」とは

「通常の使用」の一般的定義は困難であるため、具体的な事例を次のように区分して、賃貸人と賃借人の負担の考え方を明確にしました。(以下の図参照)

<図 損耗・毀損事例の区分>

A    :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの

B    :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)

A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの

A(+G:基本的にはAであるが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの

 

⇒ このうち、B及びA(+B)については賃借人に原状回復義務があるとしました。

 

(3)経過年数の考慮

(2)で解説しているBやA(+B)の場合であっても、経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っていますので、賃借人が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があるため、賃借人の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。

 

(4)施工単位

原状回復は毀損部分の復旧ですから、可能な限り毀損部分に限定し、その補修工事は出来るだけ最低限度の施工単位を基本としていますが、毀損部分と補修を要する部分とにギャップ(色あわせ、模様あわせなどが必要なとき)がある場合の取扱いについて、一定の判断を示しています。

 

原状回復にかかるガイドライン

 

第1章 原状回復にかかるガイドライン

I. 原状回復にかかるトラブルの未然防止

1 物件の確認の徹底

入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例) [WORD形式:225KB]

2 原状回復に関する契約条件等の開示

(1) 賃貸借契約締結時における契約条件の開示等について

(2) 特約について

(3) 物件・設備の使用上の注意・留意事項の周知について

II. 契約の終了に伴う原状回復義務の考え方

1 賃借人の原状回復義務とは何か

(1)標準契約書の考え方

(2)本ガイドラインの考え方

2建物の損耗等について

3賃借人の負担について

(1)賃借人の負担対象事象

(2)経過年数の考え方の導入

[1]経過年数

[2]入居年数による代替

[3]経過年数(入居年数)を考慮しないもの

(3)賃借人の負担対象範囲

[1]基本的な考え方

[2]毀損部分と補修箇所にギャップがある場合

 

第2章 トラブルの迅速な解決にかかる制度

1 現行制度の活用

(1) 少額訴訟手続

(2) 裁判外紛争処理制度

[1] 調停(相談・あっせん)

[2] 仲裁

2 行政機関への相談

 

Q&A

 

第3章 原状回復にかかる判例の動向

事案及び争点となった部位等

事例1~事例42

 

◆ ガイドライン全文(全173ページ) [PDF形式:1.93MB]

◆ 第1章 原状回復にかかるガイドライン   [PDF形式:989KB]

◆ 第2章 トラブルの迅速な解決にかかる制度 [PDF形式:397KB]

◆ Q&A                  [PDF形式:438KB]

◆ 第3章 原状回復にかかる判例の動向    [PDF形式:717KB]

◆ <参考資料>               [PDF形式:1.46MB]