集団訴訟にまで発展!?トラブルが後を絶たないサブリース契約
先月22日、アパートオーナー129人が大手不動産会社を
めぐって集団訴訟を起こしました。
ことの発端は、その不動産会社のサービスの一つである
「家具・家電総合メンテナンスサービス」です。
家具・家電をオーナーが不動産会社からレンタルし、
不動産会社の費用負担で定期的(7~14年)に新品と
交換してもらえるはずが、契約年数が経過しても交換されて
いないケースがあり、相談をしても満足できる回答が
得られなかったそうです。
そして問題はそのサービスだけに留まらず、営業手法や
サブリース契約にまで広がり、今回の集団訴訟となったそうです。
サブリース契約とは、サブリース会社(不動産会社)に物件を
貸し出し、サブリース会社が入居者へ転貸(又貸し)する仕組みです。
サブリース会社は借り上げたその部屋を一般の入居者に転貸し、
その家賃の10~15%を手数料(他管理費用なども含)として差引、
残りの85~90%をオーナーに支払います。
マンションオーナーはサブリース会社に部屋を貸し出しますので、
サブリース契約を解約、もしくはそのサブリース会社が倒産しない
限り部屋が空室になることはない、と安易に契約を結んでしまう
ことが多く、サブリース契約でのトラブルが後を絶たないのが現状です。
しかし、サブリース契約のメリットとリスク、そして契約内容さえ
しっかりと把握しておけば、マンション投資の味方となるシステムです。
そこで今回は、サブリース契約のメリットとリスクを
分かりやすくお伝えいたします。
◎メリット
(空室リスク、滞納リスクの回避)
『一括借り上げ』契約となりますので、空室や滞納が起きたとしても、
マンションオーナーの受け取る賃料に影響はなく、マンション投資を
していくうえで避けられないリスクの一つ、「空室・滞納」リスクを
回避することができます。
(管理業務を一括で任せることができる)
通常の管理業務をオーナーが担うのではなく、入居者にとっての
貸主であるサブリース会社が管理責任を負いますので、契約後に
オーナーが管理のために奔走することはありません。
サブリース会社に支払う手数料は、管理業務に関する費用も
含まれていますので、間接的に費用負担をしているとはいえ、
一括して任せられるのはメリットでしょう。
(入居者トラブルでの当事者にならない)
マンション投資をするうえで家賃滞納や騒音・近隣トラブルなど、
あらゆるトラブルが想定され、場合によっては訴訟を起こして
対処することもあります。
あくまでも貸主はサブリース会社なので、入居者トラブルにおいても
オーナーが当事者になることはありません。
◎ デメリット
(入居者を選べない)
入居者の審査はサブリース会社が行いますので、自分の意向に
反する方が入居していることがあります。
サブリース会社もある程度は入居者の審査基準を設けていますが、
空室期間が長引いてはサブリース会社の収益に影響することから、
審査基準に満たない場合でも入居させてしまうケースもあるようです。
どんな人が入居しているのか、賃料はいくらなのかを定期的に
確認する必要があるでしょう。
但し、入居者の情報開示を拒む不動産会社も多く存在します。
拒む理由が「入居者からの要請」等であれば強引に開示を求める
ことはできませんが、それ以外に関しては所有者の権利として
情報開示を求めると良いでしょう。
(サブリース会社の倒産リスク)
サブリース会社が倒産した場合、サブリース会社が入居者と結んだ
賃貸借契約は、オーナーに引き継がれるのが通常ですが、サブリース
会社が預かった敷金が思うように回収できない可能性が十分あります。
(賃料免責期間)
「賃料免責期間」とは、サブリース会社がオーナーに対して
賃料を支払わない期間を設けることです。
サブリース契約には、この「賃料免責期間」が付き物です。
はじめの免責期間は、サブリース契約後の募集期間です。
だいたい1~3ヵ月程度設けるサブリース会社が多く、
その期間、マンションオーナーの収入はゼロとなります。
空室の都度、賃料免責期間を設けるような悪質なサブリース会社
も存在しますので、毅然とした態度で断るか、契約の解除を検討
されるのが良いでしょう。
また、露骨にサブリース会社だけが儲かるような契約を
持ちかける会社も存在しますので、注意が必要です。
契約する際は必ず契約内容を確認してください。
(サブリース契約を解約できない)
原則中途解約が不可になっているケースがほとんどです。
個人的な都合で物件の精算が必要、今なら高く売れる、
などのオーナー側の資産処分の自由度が制限されます。
サブリース契約は、マンションオーナーとサブリース会社との
間で建物賃貸借契約が成立していることで、借地借家法が
適用され、サブリース会社が法律に守られる立場、という図式です。
サブリース契約において、オーナーにとっての入居者はサブリース
会社となり、サブリース会社から中途解約を申し出る分には、
入居者の権利として解約が認められ、オーナーからの解約申し入れは
正当事由が認められなければ解約することができないのです。
また、必ずと言っていいほど違約金設定が設けられています。(賃料の数か月分)
サブリース契約を締結する際には、必ず契約書の条文をよく確認してください。
(家賃保証の見直し)
提案時に「家賃は○年間保証」と提案され、将来まで安泰だと
勘違いしがちですが、契約書には、経済情勢の変化や周辺相場の
変化による賃料改定の条文が盛り込まれている場合がほとんどです。
前述の通り、サブリース会社が借主の立場であり、借地借家法上は
賃料の減額請求が認められていますので、○年間保証は「同額の家賃」
を保証するものではありません。
また、家賃保証の減額によりサブリースの契約解除をマンションオーナーが
申し入れたとしても、中途解約がなかなか認められず、収支が赤字になって
しまうというトラブルが数多く報告されています。
サブリース契約は確かに、空室リスクへの不安が拭いきれない方や
マンション投資初心者の方にとっては、安心してマンション投資を
スタートできる方法ですが、空室・滞納リスクや管理などは信頼できる
不動産会社を見つけ、入居率が高く安定している管理会社に任せて運用
していくほうがデメリット・リスクを抑えることができます。
何事も契約の内容(条文)をしっかりと
確認することが肝要です。